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2018年1月19日 第21期女流棋聖戦第1局
どうも!あたごやま囲碁道場長、茶碗のかどです^^
今日ご依頼いただいた棋譜は、去年の1月に行われた第21期女流棋聖戦第1局の、謝依旻女流棋聖と上野愛咲美初段の一戦です。
謝女流棋聖は私と同年代ですが、とてもクールでまだまだ若々しいですね。10代の頃から、ものすごい力戦派で有名でした。いつかの碁ワールドで、ヒップホップダンスが趣味というのを聞いたことがあります。私なんか盆踊りも踊れないのに・・・(笑)
上野初段は、現在高校3年生。この対局当時は高校1年生でした。見た目も棋風も落ち着いた印象で、この対局でも謝女流棋聖の強烈な攻めを冷静に凌いでました。
この記事では、大変恐縮ながら私が解説させていただきます。
断定的な言い方はせず、「こういう打ち方もあったかも」「こう打っていたらどうだったか」のような言葉を使いますので、ご一緒にお楽しみいただけたら嬉しいです^^
第1譜(1〜20)
白4まで、これはタスキ型と呼ばれる布石ですね。この場合白2で、左下隅へ打てばタスキ型は不成立であり、続く黒3で右下隅などに打っても不成立。つまり、お互いの呼吸が合って、はじめて成立する型。これから勝負だというのに、なんかほのぼのしてしまいます(笑)
白2と黒3のように、小目の向かい合いは先にカカった方が主導権を握りやすくなるので、コミの負担がある黒としては黒5と目一杯カカリたいところです。
黒15ハサミに白16と、先手で利かしながら自身を整え、白18とかかえました。逆に黒18と伸びられ、ここを動き出されると難しい戦いになりそう。白としては左上をがっちり構えて、弱い石を左下の1団のみにしておけば、攻められても凌ぎやすく、次の手が分かりやすくなります。
黒19のあおりに対し、白20と中央に頭を出して戦闘開始です。
第2譜(21〜52)
左上の白が強い構えなので、黒は21とツケて25までうまく整形しました。相手の勢力圏では、ツケたりナナメに石を運ぶと、うまくサバキやすいと言われてますね^^
黒29切りに対しての白30ノビ。やはり左上は白の構えが強い場所なので、このように力強くノビたいところです。例えば、白31などとあてて白24の1子を捨てるのは、白が弱い立場の時の打ち方です。
黒37〜黒41までの切り、さすが力戦派の謝女流棋聖らしい打ち方ですね!黒51とアテて、尚もこの白一団を重くしつつ、中央を割いていこうとしてます。
第3譜(53〜80)※白60・・・5ー二
黒55ノゾキに対して白57だと、利かされとみた上野初段は56と反撃。
黒61〜67までも、この黒の一団を生きようとしているのではなく、手数を伸ばしながらうまく捨てて他で振り替わりを読んだ打ち方です。実戦だと、黒71の出から75まで白3子を飲み込みました。単純に石数や地だけで見れば、白が得をしたようにも見えますが、元々白が強い場所で、黒はある程度の地を持って落ち着いたことが大きく、これで打てるとの判断だったのでしょう。
黒79に対しての白80は冷静で正しい応手でしょう。白80ではうっかり参考図1の白1とまともに切ってしまうと、以下黒6まで白が取られてしまいます。また、白3でaでは、黒b、白3、黒cと取り込まれ、中央を破られてしまいます。中盤の石の競り合いでは、こう言うちょっとしたことでも流れがガラリと変わってしまうので、一手一手に神経をすり減らすのですね!
(参考図1)
第4譜(81〜110)
白84までをひと段落と見て、黒85から戦場を下辺に移そうとしています。
中央は白が厚い形勢。白90と広げてみると、全体的に見渡して白に主導権が移りつつあります。右辺白模様を、このまま全部白地にさせるわけにはいかないので、91と三々に入りました。
先手をとった白は108につめました。黒の大ゲイマジマリの弱点と、右下から中央にかけた白の厚みを背景にした絶好点ですね!
もし腰抜けの私が黒だったら、91で三々に入る勇気がないので、おそらく参考図2のように小さくもぐり込みながら荒らしに行くかもしれません。しかしこの黒は非常に薄い格好なので、相当黒からいじめられるか、下手をすれば取られる可能性もありそうですね(苦笑)
(参考図2)
であれば、参考図3はどうでしょうか。↓
(参考図3)
右下は若干定石ハズレなところもありますが、もしこのような流れになって黒が先手を取れれば、次にa〜cあたりにヒラくことができたかも知れません。アマ六段の浅知恵だと思って、ご参考までにしていただけたら嬉しいです^^
実戦は、黒が右辺の白模様を荒らしに入りましたが、白が右上黒の薄みと打ち込んできた黒を両にらみして、自陣をまとめながら黒地を荒らし、中押し勝ちを得ました。
総譜(1〜186)※白60・・・5ー二
(186手完、白中押し勝ち)
それにしても上野初段、あの謝女流棋聖のけたたましい攻めを冷静に凌いで、手厚く逆襲するなんてすご過ぎますね!!私も記事を書きながら次の一手を考えましたが、もう50手を過ぎたあたりから両者のレベルの高さに震えてしまいました(笑)
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ドラマティックな碁で楽しかったです。剛腕同士のぶつかり合い、小説にしたいですね
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