碁聖戦挑戦者決定戦
どうも!あたごやま囲碁道場長、茶碗のかどです^^
9日、碁聖戦挑戦者決定戦が行われましたね!羽根直樹九段の碁は、形が綺麗で手厚く、私もたくさん勉強させていただきました。
一力八段とは地元が一緒で、かつては同じ囲碁教室で練習していたことがありました。21歳とまだまだ若く、その分打ち方も積極的で力強く、私もNHK杯の録画を何十回も巻き戻しながら並べさせていただきました。
この記事では、大変恐縮ながら私が棋譜解説させていただきます。
はじめに当ブログのごあいさつでも述べましたが、打った手が良いか悪いか、正解か不正解かは分からないのが現代囲碁の世界です。特に近年は、アルファ碁の誕生により、これまで良くないとされていた手が有力になっていたり、逆に定石だった手が使われなくなったり、ピンとこないと思っていた手が強手だったりします。
ですから、「このほうが良かった」などと断定的な言葉は使わず、「こういう手もあったのでは」「これだとどうなったか」のような言葉で研究しますので、是非ご一緒に観戦いただければ幸いです。
※棋譜は、第1譜〜第4譜まで4部、参考図2部、総譜1部で掲載致します。
第1譜(1〜27)
黒1、3、5の構えは、昔から愛用されている堅実な構え方。
白6のケイマガカリは、右辺黒の勢力圏で黒からハサまれると急戦になり、白が不利になる可能性が高いので、大ゲイマガカリや割り打ちが良いと言われていましたが、最近では正々堂々小ゲイマにかかる形がみられるようになりました。
黒もすぐにハサミはせず、一旦黒7とカカり、開拓地を作る。
白14、16はサバキ形の急所で、黒が応手を間違えると団子石になる恐れもあります。白16ツケに対して黒17と、羽根先生は穏便な流れに導かれました。一見、右上の黒4子がコリ形のようにも見える方もいらっしゃるかも知れません。
私も手厚くゆっくりした布石が好きなので、もし私が黒だったなら17では1図黒1〜5のように考えるかも知れません。先手で右上黒の形を整え、黒5と右下も補強しながら、後にAやBの打ち込みを狙う意味です。
(1図)
もちろんどちらが良い悪いではなく、どちらも一局でしょう。第1譜右上の黒は弱い形ではないので、少しくらい効かされても黒17と打ち、右下白の厚みを早いうちから抑制しておく意味だったのかも知れませんね。
第2譜(28〜56)
右辺で生きてない黒と白が頭を出し合ってますね。白28は様子見の手。黒の応手によって打ち方を決めるものでしょう。上辺黒に対して30〜33まで効き筋があるので、効かしてから白34と切って自身の形を整えました。
白54は小さい手に見えて実戦では簡単に打てないかも知れませんが、下辺双方の重要点だと思います。これによって下辺白は落ち着き、黒は55のヒラキが欠かせません。このヒラキを打たないと、すぐさま白Aと詰められ、黒は生きるまでにしばらくかかりそうですね。大場より急場という格言通り、黒にとって55がまさに急場なのでしょう。あまり地にならなくても、一手で石が安定する場所に打つと、他で強く戦えそうです^^
急場が終わったので白56と大場をシマリ、戦場は上辺に移ります。
第3譜(57〜100)
白58、60に対しての黒61は、これまた羽根先生らしい手厚い打ち方ですね!黒61を打たず、逆に白61から出切りを打たれると、黒は少々薄くなってしまい心配です。上辺は、現時点では黒石が多い場所。黒61でダメを詰めて白へプレッシャーをかけながら、自身黒の一団も補強して戦う姿勢を取られました。
特に羽根先生の手は、分かりやすい形や石運びが多いので、乱戦があまり好きではない方は羽根先生の棋譜を並べると大変参考になるはずです。私も五段くらいの頃、周りに乱戦好きの人が多い中、自分は乱戦苦手で伸び悩んでおり、羽根先生の「戦わずして勝つ方法」と、高尾先生の「高尾の力学」という本をひたすら勉強して、六段の壁を突破できたのだと思います。
手厚く分かりやすく打つことで、相手が急戦を仕掛けてきたり、相手に弱点があった時に対応しやすく読みの力を発揮しやすかったと思います。少しでも気になられた方は、是非参考にしていただけたら嬉しいです。
続く白62も、上辺白一団の根拠に欠かせない一手。黒63とヒラかせてから白64と打ち込み。白82、黒83と双方頭を出し合って、白86まで上辺白の一団に心配はなくなりました。
ここで一旦黒87と、戦場が下辺へと移ります。続く白88、これは遠巻きに黒87をにらむ一手。
(2図)
第3譜黒87と潜り込まれた時、例えば2図白1〜白6までのように直接封鎖してから、下辺黒や上辺黒を攻める打ち方も考えられたかも知れません。しかし、下辺黒にはaやbなど弱点も残っている反面、ヒラキに少し間隔があるので、うまくさばかれると左下隅をタダで荒らされてしまう結果にもなりかねません。荒らされるどころか、浮き上がった白の眼形も心配になってくるようでは、生きていない上辺黒の一団へも攻めが効かなくなってしまいますね。
黒93〜99はサバキ。白100とモタレながら、左下と上辺の黒をにらみ続けます。
第4譜(101〜130)
黒101のハネから113まで、白2子が取られる形になりました。しかし、白120マガリから128まで、上辺黒を飲み込むための効き筋作りだったのでしょう。下辺白3子も飲み込まれた形になりましたが、左下隅のコウ材に働いてきそうなので十分という考えだったのでしょうか。
黒129とコウ勝負が始まり、14回取り合った末に白がコウを解消しました。
当記事では総譜190手まで載せてますが、200手を過ぎたあたりで一力八段が地合い不足を読み切り、投了される結果となりました。
総譜(1〜190手まで以下略)
※ 98=7ー十四、 130=1ー十九、 133=1ー十八、 136=1ー十九、 139=1ー十八、
142=1ー十九、 145=1ー十八、 148=1ー十九、 151=1ー十八、 154=1ー十九、
157=1ー十八、 160=1ー十九、 163=1ー十八、 166=1ー十九、 173=9ー十二
ここまで読んでいただきありがとうございます^^
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当ブログを、今後ともよろしくお願い致します!
読ませて頂きました。羽根直樹先生の碁は、手厚くて好きです。石がまっすぐしている感じが良いですね。序盤、参考図1図のほうが、アマチュアには分かりやすい気がしました。棋譜並べも頑張っていきたいです。一力先生と同じ囲碁教室だったこともある? いいですね(*^^*)。一力先生は、イケメンなので(wwそっち?)好きです。
ご購読いただきありがとうございます!羽根先生の碁は、分かりやすい打ち方の要素がたくさん詰まってますので、ぜひ今後もお互い勉強していきましょうね^^一力先生は子供の時から、対局時はただ者じゃない風格がありましたが、またこんな形で再びご縁があり、大変光栄です!今後更に、碁もイケメンも磨きがかかられると思います^^